mamicosha 株式会社マミコ社

予告編の美しさから気になっていたトム・フォード初監督作、シングルマンを鑑賞。

トム様の美意識をもってすれば美しいものに
ならないわけがないと思ってはいましたが
絵がきれい、ファッションが素敵、なんてレベルではなく
音、物語、すべてにおいてパーフェクト。
ブランド、自己プロデュースだけでなく映画までも完璧とは。
天は二物を与え賜うのか。しかし賜うたわけです。不公平。

絶望した主人公が死を覚悟した瞬間、
その一日のほんの小さな出来事がいつもと違った輝きをみせるその時々で、
無彩色に近い画面がフワーっと色を帯びる、
ともすると嫌らしくなるかも知れないその演出の繊細な表現たるや、
各プロットをつなぐ端正な記号のちりばめかたたるや、
なんだかこう、美しさと切なさが心に染み渡りまくり。

最後はネタバレになるので詳細書きませんが
捉え方によってはとても辛い、しかし私は本当に幸せな終わり方だと感じました。
シングルマンじゃないじゃないですか、最高じゃないですか、と。
それがもう切ないやらなにやらで泣けて泣けて。。
途中途中のなんてことないシーンから泣いてましたが。

久しぶりのヒットを見つけて、映画のごとく鮮やかな色を帯びるような気分。
最初の5分を逃したこともあるのでもう一度絶対見みます。

補足1：泣かせる演出があったり、大きなカタルシスがあるわけでなく、
なにも事件が起こらない映画なので
この感想を真に受けて見ると、人によってはそんなに？
または、そこまで？と思う可能性が大きくあります。

補足２：「どっかで見た、どこでみたんだっけ..」と
考えながらみていたキーになる美青年が
“アバウト・ア・ボーイ”のあの子役だったことがわかりビツクリ。
こんなに美しく成長するとは！
この男の子がまたよくて、泣けて泣けて。。（しつこい）

写真；
主人公が、ナンパされたイケメンスパニッシュと
ピンク色に色づく夕焼けの中で素敵な会話をかわすシーンのオマージュとして。
（ホントは伊勢市の駅前）
天に飛び立つ飛行機雲は死への思いか生への希望か。